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法人設立前に検討すべきこと

2018年01月16日

エストニア法人のランニングコストに関してのお問い合わせが増えています。今回は、エストニア法人の事業計画を立てる際に必要な人件費とそれにかかる税金、雇用に関する予備知識について解説します。

1. 現地スタッフをどうするか

エストニアに法人を設立してEUに展開。その方向性は有りですし、弊社もそのサポートをしています。しかしそのためにはクリアしておく課題がいくつかあります。特に現地スタッフの雇用に関する課題です。 

e-Residency制度を活用し、すべてを日本からオンラインで完結するビジネスを想定している方には申し訳ないですが、エストニア、ひいてはヨーロッパ展開を考える際、現地スタッフを一人も雇用せずにビジネスを立ち上げることは容易ではないと思います。少なくともマーケティングや交渉、マネージメントを担当する人材がいなければ、ビジネスのスピードはでないのではないでしょうか。

2. 人件費とそれにかかる税金

そういう意味で、エストニアで事業を進める際には、現地スタッフの雇用は避けて通れないのではないと考えます。しかしここで課題となるのが人件費と税金です。

エストニアの人件費には、エストニア法人のランニングコストのページの説明にある通り 、所得税20%(本人負担)、社会税33%(全額会社負担)、雇用保険2.4%(本人負担1.6%、会社負担0.8%)の税金がかかります。手取り額€2,000のスタッフを雇用すると税金・雇用保険は約€1,399、合計約€3,340となり、人件費総額に対して43%が税金です。 (図1参照)

これを日本円に換算(1€=¥130)すると¥434,200 x12ヶ月で年間512万円、 これにバックオフィス業務を弊社に委託すると年間約100万円。合計で約612万円が年間ランニングコストの目安です。

弊社のバックオフィスサービスは以下のリンクで説明していますので、よろしければエストニア法人のランニングコストをご参照ください。

図1:手取り2000ユーロの場合の税金等
エストニアの賃金(参考)

業界によってまちまちです。ICT関連のエキスパートエンジニアは手取り月額€2,000から€2,500程度、管理者は手取り€3,000程度以上、社会税と所得税を含めると月額€4,000から€5,000程度が会社が負担する人件費といったところではないでしょうか。

エストニアで事業展開を考えた時、これに年数回の出張費、その他の経費諸々で1,000万円程度かかると考えるとわかりやすいと思います。
もちろんパートナーとの協業や自分自身で何でもこなしてコストをかけないというやり方もありますので、あくまでも一つの目安とお考えください。

3. 雇用に関する予備知識

エストニアの雇用については、以下の予備知識を持った上で検討する必要があります。

  • 有給休暇は雇用1年目から28日与える必要がある
  • 雇用主は、有給休暇に入る前に休暇日数分の給与を全額支払はなくてはならない
  • 雇用契約書に署名必須(契約書に書いていない業務は強制できない)
  • 雇用レジストリに登録しないと給与を支払えない
  • ビジネスレジストリに登録すると毎月10日までに社会税・所得税・雇用保険料を納付しなければならない
  • 毎月納税しなければビジネスレジストリに滞納と表示される
  • オンラインで誰でも会社の納税状況を確認できるので、滞納は会社の信用に関わる
  • 解雇条件が法律で定められているため、容易に解雇できない
  • 1人につき1回に限り、最長4ヶ月の試用期間が認められている
  • 業績に対して責任を取るのは管理者であり、労働者ではない
  • その分管理者の給与は労働者より高い
  • 雇用に際しては、人件費を事前に調達しておく必要がある

投資リスクと管理者の任命責任を取るのが出資者、業績・管轄業務に対して責任を取るのが管理者、管理者から指示された業務をこなすのが労働者という感覚が一般的です。ビジネスアドミニストレーションの専門教育を受けていない者に管理者の仕事をさせるのはお互いにとってデメリットしかありません。雇用に際して管理者を雇うのか労働者を雇うのか、明確にしておく必要があります。

スタートアップのケース
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一般的にスタートアップは小さいチームからスタートします。その場合、雇用というより全員シェアホルダーや役員の場合も多く、経営者として参加することが珍しくありません。雇用するとなると負担が大きいので、極力雇用は控えて数名の役員で回していることが多いです。

しかしそれでも日本人だけでスタートアップを立ち上げるのは、想像以上にハードルが高いです。何より在留許可取得というハードルがあります。エストニアにはスタートアップビザというものがありますが、外国人が取得するためには革新的でスケーラブルなテクノロジー製品やサービスでなければならず、レストラン、オンラインショップ、ITサービスプロバイダ、個人事業者はスタートアップとはみなされません。したがって、法人を設立しただけで在留許可を取得することは難しい状況です。資金が潤沢であれば、€65,000(1名あたり)以上の投資で申請できるビジネスビザがありますが、一般的には法人設立の前に、まずエストニアでパートナーを見つけることから始める必要があるでしょう。

パートナーを見つけるためには、エストニア側にどんなオファーを出すのか、事前に検討しておくことがポイントです。こちらでは交渉はゲームのようなものです。相手の切ったカードを見て判断することは普通です。こちらに来られる場合、日本側からカードを切らない限りゲームはスタートしません。お互いに興味が一致すれば、フレンドリーなエストニア人は惜しみなく協力してくれるはずです。信頼関係は日本側からオファーを出すことによって作っていくものだと思っておくといろいろと捗るでしょう。

エストニアでは、人間関係を作ってからビジネスをするのではなく、一緒に仕事をするうちに人間関係ができていくというスタイルです。

4. 税制面でのメリット

エストニアの税制の特徴は、法人は所得税がかからない点です。例えば1000万円の利益を翌年に繰り越しても所得税はゼロです。一方、1000万円の利益を全額配当すれば、所得税20%が源泉徴収となるので800万円を受け取ることになります。 

これが日本だったらどうでしょうか。住民税を含む法人税の実効税率を40%とした場合、1000万円の利益に対して400万円の課税で600万円手元に残ります。配当におけるエストニアとの差は200万円。全額再投資するならエストニアは無税なので1000万円再投資できますが、日本は所得税400万円が引かれて600万円しか再投資できません。 

税制面からいえば、年間利益1000万円を出せるビジネスだと200万から400万円のメリットがあるということです。将来ヨーロッパ展開、グローバル展開で利益を上げ、ランニングコストを吸収して再投資による事業拡大を目指しているのであれば、法人税がないエストニアは適しているといえるでしょう。 

エストニア法人を設立する際は、現地マネージャーを1名雇用して年間1000万円程度のランニングコスト、再投資による事業拡大にメリット、雇用条件は日本と異なるということを念頭に事業計画を立案されることをお勧めします。

エストニアで鳥居禮作品展「伊勢の神宮」開催 3

2016年01月03日

前回に引き続き、鳥居禮作品展のキューレーター、タイミ・パヴェスさんにお話をお聞きします。

          展覧会の街灯広告

ーーもしタイミさんが神道や日本の古い伝説に興味をもっていなければ今回の展示会はありませんでした。なぜ伊勢神宮や神道に興味を持ったのでしょうか?

タイミ:神道は日本人のアイデンティティの拠り所になっていると思って、日本の古い伝説に前から興味がありました。エストニアの自然宗教も共通点があって、去年の夏にシベリアに行ってあそこのシャーマニズムも見学して、やっぱり共通点があると思って、ぜひエストニアでとても素晴らしい神道の伝統を紹介したいと思いました。もちろんいろんな文化に自然宗教がありますけど、日本のように今まで続いているのはめったにないです。もう一つは自然ですね。神道の自然を大事にする、尊敬するというのはとても大切ですので、これも理由の一つだと思います。

それと、今は自然だけではなく、政治やいろんなことが大変になっていて、いろんな問題があってとても苦しい時代ですね。神道の積極的なポジティブな明るさとか、清らかさとか、人々は今それを望んでいると思います。

本当にに暴力的な、例えばコンセプトアートとかは、ある意味であきらめてきているのかも知れません。だから神道のような昔の思想の中に良いもの、もっと自分の自信とか、心強さとか探すことができるかも知れません。

私たちは前のジェネレーションの続きですね。だから、もちろん人生は短いですけど、私達の子供とか環境とか将来とかも考えなければなりません。それは、神道の中に体現されていると思います。

ーーエストニアもそういう祖先から繋がっていると言う事や自然を尊敬するという事はみなさん持っているのでしょうか?

タイミ:私たちは残念ながらですね、文字の文化は残っていないです。ある意味民謡の中とか伝説の中に少し残っているんですけれども、そういう、こう流れですね、ひとつの流れとか哲学とか、そこまではないですね。

ーーエストニアは文字とかではないけれども習慣として残っていると。

タイミ:だから神道の話をエストニア人に少し説明するとみんなすぐ分かるんですね。難しい話ではないです。どこか共通点があるんですね。人の考え方とか。この前、鳥居さんと一緒に一つの画廊に行きました。オーナーはタタール人です、ロシア系の。彼はすぐにこの話がわかりました。
でも、それはやはり人によります。エストニアの旅行会社の人に、伊勢神宮も見せたらと言いましたが、「どうして伊勢神宮まで?」と聞き返されました。「あそこには何も面白いものがない」と言われてビックリしました。
伊勢神宮の、その、いろんな作られた物とか建築が特別ですけど、やっぱり場所だけで十分ですね。
森とか他のところで見たことが無いですね。なにか特別なピュアなイメージがあります。
すぐわかるので。こういう光とか、すばらしくて。
私たちは、その、、、自然のエナジーをコントロールできませんでしょう?
できるだけバランスを自分のほうからも守らなければなりませんし、もっと自然とのつながり、とか。若者はそれについて毎日は考えませんけれども、ある年齢に達すると、やっぱり自然はとても大切。

ーーたとえばエストニア人が自然を大切にしているということがわかるような博物館とかありますか?

博物館はないですけれども、タルトゥ大学にはエストニア自然遺跡センター、文化センターとかあります。その人達はいろんな資料を研究して、現地の人たちといろんな話を集めて、たとえば森の中の石が大切とか、そのようなことを一生懸命に、もちろんあまり残ってないですけど研究してます。

ーーパンフレットの巻末に、タイミさんが撮影された写真がありますが、なぜその写真を選ばれたのでしょうか。

           パンフレットの巻末写真

この写真を選んだ理由は注連縄ですね。大変重要な。自然は重要でして、人間としてですね、自然は大切。たぶんその、ある意味で神道のテーマもありましたから。


今回の展覧会は、タイミさんと鳥居さんの運命的とも言える出会いによって実現しました。これからもエストニアと日本の交流発展のために、お二人のご活躍を心から願っています。

エストニアで鳥居禮作品展「伊勢の神宮」開催 2 

2016年01月02日
前回に引き続き、タリンで開催中の鳥居禮作品展「伊勢の神宮」についてご紹介します。

今回の展覧会をエストニアのテレビ局が伝える

1:14あたりから鳥居さんがお話されています。

以下、パンフレットにある鳥居禮さんの紹介文を抜粋引用いたします。

鳥居禮氏は、日本の伝統的な精神性を現代的に表現しています。伝統的な精神性とは、仏教や漢字文化、儒学などが渡来する以前の純日本的な精神です。さらに、縄文時代の土器や、平安時代の大和絵からもインスピレーションを得ています。世界的なコンテンポラリーアートは、人間中心的なギリシア美術の流れを汲むものですが、鳥居氏は江戸時代以前の日本美術、ひいては日本文化の伝統全体が伝える人と自然の調和の精神を新しい感覚で表現し、コンテンポラリーアートを超える人類が本当に必要とするアートを創造しようと考えています。

鳥居氏の作品は、人と人、人と自然、地球と宇宙がそれぞれ調和して一つになり、暖かい幸福感で満たされる事を目的とするためのものです。日本では、これらの精神を神社や神官たちが太古より神道として伝えてきました。清らかさ、初々しさ、めでたさ、平明さ、素直さなどの具体的な美意識と祭という祈りの行為によって調和の心を表現します。鳥居氏の作品はすべてこの精神に基づいたまったく新しいアート分野といえるでしょう。 

キュレーターさんにインタビュー

この展覧会について、筆者は今年の5月頃にキューレーターのTaimi Paves(タイミ パヴェス)さんから話を聞いていて、開催を大変楽しみにしていました。タイミさんは、筆者がエストニアに来て初めて知り合いになった方で、以来、エストニアの文化について時々お話を聞かせていただいています。今回は、そのタイミさんご本人に、エストニアと日本の文化交流の歴史、今回の展覧会開催までの経緯などをお聞きしました。タイミさんは日本語が大変流暢なので、インタビューはすべて日本語で行いました。

ーーエストニアと日本との文化交流はどのように始まったのですか?

タイミ:今から15年ほど前の2000年、その時は初めて協力して日本の二人の書道家、鈴木春潮さん、師田久子さんのデモンストレーションを開催しました。その前は書道の紹介は一つも無かったと思います。全く初めて。その時私も初めて日本の美術に感動できました。そのプロジェクトは本当にみなさんのおかげで成功でした。

実は今までも鈴木さん、師田さんと年賀状とか毎年交換します。 国際交流基金のイベントでは、同じ人が同じ国へ2回目はなかなか行くことができないですが、その二人はほんとうに素晴らしく、エストニアとの交流ができて、二人はエストニアが好きになって2回目のイベントにも来ました。2005年に二人とも。そしてだんだんいろんな他のアーティストのプロジェクトも開催して、日本とエストニア国立美術館との信頼関係がだんだん深くなってきました。

2009年には、仏教画家、畠中光享氏の個展が開催され、エストニアで初めての日本画展となりました。そのときは畠中氏の講演会もあり、自然素材だけを使った日本独自の絵の具や日本画の画法についてのお話は大変おもしろく、興味深いものでした。

ーー今回のプロジェクトは、いつ頃スタートしたのでしょうか?

タイミ:2012年にスタートしました。そのきっかけは、私自身が鳥居さんにあるメールを出したことに始まります。

ーーどんなきっかけでメールを出されたのですか?

タイミ:私の知り合いが「ホツマツタエ」という日本の古代文字に興味を持っており、私もその調査を手伝っていてインターネットで調べていたところ、鳥居禮さんのホームページを見つけました。それで鳥居さんが日本画家であることがわかり、作品を見て興味を持ちました。それで鳥居さんのほうでも興味があれば、エストニアで展覧会出来ないかとメールを書きました。

ーーとても不思議なきっかけですね。鳥居さんとは、その後どのような形で交流されたのですか?

タイミ:幸いにも鳥居さんから返事があり、エストニアに興味を持っていただくことができていろんな資料を送っていただきました。  

鳥居さんは、いろんなスタイルやトピックを描きますが、私とほかのキュレーターさんと一緒に展示を希望する作品を決めました。美術館の館長さんとも話をして、2015年2016年で美術館が使える期間があって、是非鳥居さんに作品展を開催したいと交渉しました。
 
それで去年は国際交流基金に申請書を書きました。作品はとても貴重なものですから、保険とかいろいろ、輸送もちゃんとやらなければいけませんので、それを書いていて。そして日本へ行きました。鳥居さんの工房をたずねて、いろいろ細かいことを確認しました。そのときは伊勢神宮にも行きました。

ーーなぜ伊勢神宮に行くことになったのですか?

タイミ:たまたま私たちが展示を希望する作品の一部が伊勢神宮のもの(収蔵品)でした。そのことを私たちは知りませんでした。それに、エストニアでは神道の話、神道に関係するものを全然誰も見てないとわかっていたので、そのテーマが一番面白いと思いました。
それと神道の背景としての伊勢神宮に行きたかった。それは、鳥居さんがどころからインスピレーションをもらうか知りたかったからです。そしてご親切にも、鳥居さんは伊勢神宮のせんぐう館の専門家である深田さんにアポイントメントを取ってくださいました。  
深田さんは、とても親切に展示の案内や説明をしていただきました。見学のあとで深田さんに展覧会のご協力をお願いしましたところ、その時の深田さんは、丁寧に、もちろん楽しみにしていますとおしゃいました。しかし、その時私たちはそれがほとんど不可能であることを知りませんでした。

次の日、私たちは神宮禰宜の宮嶋さんに内宮を案内していただきました。宮嶋さんは、伊勢神宮についていろいろ詳しく説明してくださり、さらに2013年の秋に新しく完成した正宮を見せていただきました。私たちが訪れたのは遷宮から1年後だったのですが、そこはまだとても輝いていて綺麗で、、、。 
それから白い石でおおわれている場所、御敷地と言われています。その場所まで案内していただきました。とても感動しました、、、ほんとうに。  
あと五十鈴川です。大変美しくて特別なところ。本当に全部の環境が美しくて。あと、私だけでではなくて、もう一人のキュレーターや動向したエストニア人の方たちもそう感じていました。

ーーたいへん感動的な旅だった様子が伝わってきます。ところで、絵の方はどうなりましたか?

タイミ:レンタルは大変難しいということがわかったのですが、それでも鳥居さんに是非是非お願いしたいと。それで鳥居さんはいろいろ手紙を準備して。
私たちは国立美術館の方からのお願いですね。それを準備して。
当時の城内実外務副大臣も推薦状を書いてくださいました。
それで鳥居さんを通じて伊勢神宮にお願いしました。彼は大変親しい関係があるので、この展覧会が実現しました。最終的に貸し出しが了承されたのは、2015年の4月から5月にかけてのことです。

ーードラマチックな展開です。それから展覧会まではどうでしたか?

タイミ:日本とエストニアのやりとりは言葉の問題がありますので、それが大変でした。展覧会初日の10日前には絵が到着しましたが、諸々の準備が整ったのはぎりぎりでした。

ーーもしよろしければ、鳥居さんのプロフィールやお会いした時のエピソードなどについてご紹介いただけないでしょうか。

タイミ:鳥居さんは大学を卒業後はまず仏教を研究して、その後さらに時代を遡って神道、古代文字にその関心の幅を広げられたと伺っています。2014年には鳥居さんのご自宅に招かれて、ご自身が作られた大変すばらしい庭園を見せていただきました。  

今回の展覧会に合わせて初めてエストニアをご訪問いただき、エストニアの画廊、オープンエアミュージアム(エストニアの伝統的な古い住居が移築展示されている)などをご案内しました。そこにある古い建物が神道の建築に似ているということで。美術館、KUMU(エストニア国立美術館)も見て、いろんな画廊も回って。もちろん、展覧会の準備が忙しかったですが、今後もエストニアとの交流を続けたいとおっしゃってくださいました。

左:タイミ パベスさん 右:筆者
次回は、エストニアの人々になぜ神道や伊勢神宮に興味を持つ人が多いのか、その理由についてさらにお話をお聞きしていきたいと思います。

エストニアで鳥居禮作品展「伊勢の神宮」開催 1

2016年01月01日

タリン旧市街にあるAdamson-Eric美術館で、11月6日より日本画であり神道画家としても活躍されている鳥居禮氏の作品展「伊勢の神宮」が開催されています。 

鳥居禮氏について

鳥居禮氏は、1952年に生まれ、1974年に武蔵美術大学を卒業しました。30年にわたり日本伝統文化及び著作家として活躍しています。伊勢神宮との関わりも深く、30数枚の作品が伊勢神宮やせんぐう館に収蔵されています。2008年より第62回伊勢神宮式年遷宮の諸祭画の制作が開始され、2012年に30点の作品が完成し、せんぐう館に収められました。そのシリーズの一部(14点)は今回の展覧会で紹介されています。---公式パンフレットより---

鳥居禮展:Adamson-Eric Museum

2016年2月28日まで開催中。(月曜日、火曜日は休館日)
住所 : Lühike jalg 3,Tallinn, Estonia
Goole Mapはこちら
TELEPHONE : +372 644 5835 (tickets)
入館料:3.5ユーロ

展覧会の様子

展覧会は、エストニアの首都タリン市のオールドタウンにあるAdamson - Eric Museumで開催されています。

会場に入ると、まず最初にスサノオノミコトに出迎えられます。そしてヤマトタケルノミコト、オオナムチノミコト(オオクニヌシノミコト)と続きます。そして様々な儀式の様子が描かれた絵を見ていくことになります。

会場には雅楽流れ、その音に包まれながら絵を見ているうちに、会場に漂う木の香りに気づきます。絵を見ると、額縁が白木でできたシンプルな木枠になっていて、装飾も塗装も全くありません。その白木から漂う木の香り、絵を通して目に入ってくる質素かつ繊細な造形、祭祀装束の白と黒、そして鮮やかな赤と青、温かみを感じさせる金色の空気感、緑深い杜、それらが一体となって伊勢神宮の雰囲気を五感を通して伝えてきます。

作品の多くは端正で精緻。杜の深緑色と金色コントラストが印象に残りました。その他に、“富士の祭”と“紅葉の踊り”という作品は画風が異なっていて、とても華やかで楽しげな絵です。春の訪れや実りの秋の嬉しい様子が感じられます。

展示も終盤に近づいたころ、窓際に置かれた榊、紙垂を見ることになります。榊や紙垂は、日本人にとってはいつも身近にあるものです。エストニアで暮らす筆者にとっても、日本の日常にある伝統的な風景を思い出させてくれるものでした。

また、地下フロアにある展示室では遷宮の様子を収めた映像を見ることができます。これは深夜に始まる“遷御の儀”、そのあとに行われる“川原大祓の儀”の様子を撮影した大変貴重な映像もありました。そのような映像を、エストニアの古い街にある石造りの建物の中で観ると、なんとも不思議な感覚に包まれます。


エストニアで伊勢神宮の収蔵作品を見ることができるとは思ってもみませんでした。それにしても伊勢神宮はよく絵を貸し出したと思います。それを考えると展覧会を実現するまで関係者のご苦労は大変だったことでしょう。ぜひこの機会に、エストニアに来られた多くの日本の方にAdamson-Eric Museumに足を運んでいただければと思います。

次回は、今回の展示会のキュレーターを務めたTaimi Pavesさんにお話をお聞きすることができましたので、展覧会実現までの経緯をレポートします。

タリン工科大学留学のすすめ

2015年10月19日

世界でも最先端の電子政府を推進中のエストニアですが、そこにはもちろん高度人材を養成する教育システムがあります。それに大きな役割を果たしているのがタリン工科大学です。

タリン工科大学は、工科大学という名称にもかかわらず、経営管理、法律、国際関係などのコースを持ち、各分野に多様な高度人材を供給しているユニークな大学です。エストニア人以外にも多数の留学生が在籍し、日本からの留学生も歓迎していますので、あなたもタリン工科大学へ留学してみませんか?

タリン工科大学のご紹介

タリン工科大学大学(Tallinn University of Technology 以下 TUT)は、高いレベルのエンジニアリング、技術研究とイノベーション関連分野に重点をおいています。エストニアの首都タリンで1918年に設立され、もうすぐ創立100周年を迎えます。 TUTは、学生数でエストニアで二番目に大きい大学、首都で最古で最大の国立大学です。

TUTはまた、エストニアで最も国際的な組織であり、これまで国際的な認定プログラムによる留学生を最も多く集めています。 TUTは、国際的に認められた幅広い学位プログラムを英語で提供しており、留学生のための多くの無料プログラムがあります。 この秋、多数の工学分野を含むビジネスからITに至る4つの学士と18の修士プログラムの選択肢が追加されました。また、すべての博士号プログラムは英語で行われています。

また、英語圏以外からの入学希望者のために、1年間の入学準備英語教育プログラムがあります。

プログラムのご紹介

博士課程の詳細はこちら
修士課程の詳細はこちら
以下、入学前の英語準備課程と4つの学士課程及び入学条件についてご紹介いたします。

1. 英語入学準備課程

TUTは、一年間の英語準備課程を提供しています。以下、Q&A形式で簡単にその内容をご説明いたします。  
◆英語準備課程で学ぶ内容はどのようなものですか?
  • 一般英語の練習と開発(読み取り/書き込み/リスニング/スピーキング)
  • 特別な目的のための英語(ビジネス)
  • アカデミックライティング
  • 文法と語彙
  • プレゼンテーションと英語でのグループのスキルでの作業
  • 国際英語試験のための準備

◆英語準備課程で何を得られますか?

  • 大学の国際研究プログラムに必要な言語レベルを達成
  • 大学の研究やプロの目標のために英語を向上
  • 国際英語試験のための準備
  • TOEFL ITPテストの受験
履修期間 年間授業料
9月1日- 5月30日 €4,100(早期割引€3,700)

英語準備課程についての詳細情報はこちら

2. 国際ビジネス管理プログラム:International Business Administration

このプログラムは、会計、銀行、ビジネス、法律、経済、金融、マーケティング、管理、統計などの分野でビジネス管理の専門家となるためのプログラムです。

取得できる学位 ECTS 履修期間 年間授業料
Bachelor of Arts in Social Sciences (BA) 180 3年 €3,300

国際ビジネス管理プログラムについての詳細情報はこちら

3. 国際関係プログラム:International Relations

このプログラムは、対外関係と国際問題に興味を持つ若者に向けられています。学生は、国際政治、安全保障と経済学の優れた基本的な知識を得ます。すべての学生は、フランス語またはドイツ語のいずれかで勉強する必要があります。

取得できる学位 ECTS 履修期間 年間授業料
Bachelor of Arts in Social Sciences (BA) 180 3年 €3,000

国際関係プログラムについての詳細情報はこちら

4. 法律プログラム:Law

このプログラムは、法解釈と実装の近代的な技術を研究するため、および異なる法的システム間の相互関係を理解するために可能性を提供しています。そのほか、EU法、プライベートおよびパブリック法律、法律の新しい分野の詳細に調査・研究、例えば知的財産法、情報通信法、電子投票の規制およびデータ保護法についての知識を提供しています。  

取得できる学位 ECTS 履修期間 年間授業料
Bachelor of Arts in Social Sciences (BA) 180 3年 €2,700

法律プログラムについての詳細情報はこちら

5. 統合エンジニアリングプログラム:Integrated Engineering

このプログラムは以下のような分野での継続的な教育で、業界での活動を行うために十分な知識を学生に提供しています。

  • インダストリアルエンジニアリングと管理
  • デザイン&エンジニアリング
  • メカトロニクス
  • 持続可能なエネルギー論のための材料とプロセス
  • 分散型エネルギー
  • ソフトウェア工学
  • サイバーセキュリティ

このプログラムは独特であり、バルト海地域で唯一の統合エンジニアリングプログラムです。 授業料は無料ですが、単位を取得できなかった場合、1ECTSあたり€43を払う必要があります。  

取得できる学位 ECTS 履修期間 年間授業料
Bachelor of Science in Engineering (BSc) 180 3年 無料

統合エンジニアリングプログラムについての詳細情報はこちら

入学要求項目

◆全プログラム共通要求項目

  • IELTS Academicの各要素で5.5以上(直近2年以内のスコア)
  • または、TOEFL(iBT )で 70以上(直近2年以内のスコア)
  • 高校卒業証明書
  • 成績証明書
  • 学術やキャリア目標を含む志望動機(Motivation letter/statement of purpose)

◆法律プログラム要求項目

Motivation letter/statement of purposeには以下のポイントを含むこと。

  • 法律分野に対する精通度について、これまでの経験と実践や理論、実務経験(0–2ポイント)
  • プログラムを完了した後のプロとしてのキャリアのビジョンへの関心について法律の専門分野や地域、カリキュラム(0–2ポイント)
  • 将来の研究のためのアイデアのフィールド(0–2ポイント)
  • 他の分野との法的科学の相互作用について(0–2ポイント)
  • 英語の文法的に流暢さ正しさについて(0–2ポイント)
グレーディンクスケール:0〜10点
ポジティブスケール:5〜10ポイント
法律プログラムの入学候補者になるには、少なくとも5ポイント獲得することが必要です。

◆統合エンジニアリングプログラム要求項目

  • Moodleオンライン複数選択試験
  • Moodleテスト合格者に対するスカイプ面接

問い合わせ先など

注意!
入学試験は毎年更新されますので、最新の情報をタリン工科大学のホームページで必ず確認していください。また、タリン工科大学では留学生にアパートや寮などの宿泊施設の紹介は行っておりませんので、留学希望者は自分でアパートを探す必要があります。 

アパートを探すための情報はこちら

EUのイノベーションプロジェクト“Horizon 2020”に日本企業もチャレンジしよう!

2015年05月29日

2015年5月8日から15日まで、タリンでICT Weekが開催されました。ESTLANDINGが取材した幾つかのイベントのひとつ、“Norway Estonia Green IT Cooperation Seminer” で、EUが推進するイノベーションプロジェクト“Horizon 2020”について紹介されていましたので、それをご紹介します。
“Norway Estonia Green IT Cooperation Seminer”で使用されたマテリアルのダウンロードはこちら。

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Horizon 2020とは

Horizon 2020は、EU史上最大のイノベーション研究プロジェクトで、2014年から2020年までの間、総額800億ユーロ(およそ10兆円6千億円)の予算をかけた巨大プロジェクトです。

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スローガンの一つは、「From research to retail」

Horizon 2020は、これまでのプロジェクトと大きく異なり、プロジェクトのテーマとなる範囲がかなり広く、マーケットとのつながりが強いです。これまでのように、興味深かい研究というだけでなく、どのようにマーケットで使われるかが重要視されています。

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  • Challenge based 課題解決がベース
  • Thematec openess テーマはとても広い
  • Focus on innovation イノベーションにフォーカス

7つの社会的課題

Horizon 2020のチャレンジ目標は以下の7つの分野です。

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  • 健康 人口動勢の変化 幸福さ 
  • 食物の安全性 持続的な農業 森林 海水・淡水の研究 生物経済学
  • 安全でクリーンな効果的エネルギー
  • スマート エコ 交通インテグレーション
  • 気候に配慮した活動 環境 効果的資源活用 原料
  • 変化する世界の中の欧州 —包括的、革新的でインタラクティブな社会を提供—
  • 安全な社会 —欧州と欧州市民の自由と安全を守る—

イネーブリングテクノロジーと産業技術にフォーカス

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  • ICT
  • 宇宙
  • バイオテクノロジー
  • ナノテクノロジー
  • 高度な生産技術と加工技術
  • 先端素材

SME(Small Medium Enterprise) は欧州の新しい恋人

欧州の99%程度の会社はSMEで、3分の2の人が勤めています。だからSMEはとても重要です。

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申請までのステップ

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  1. アイデア ターゲット 戦略を決める
  2. アイデアを評価
  3. どの事業(プロジェクト)分野に提案するか決める
  4. パートナーを探す
  5. アイデアをさらに磨くことと提案書を書くことについてのアドバイスを受ける
  6. Horizon 2020へ申請

Horizon 2020は何をサポートするのか

EUのHrizon 2020のホームページによると、プロジェクトに申請できる中小企業の定義、各フェーズの事業目的、助成金やコーチングといったサポート内容などについて説明されています。

フェーズ1:コンセプトと実現可能性の評価。例えば、これは、新製品、サービス、または既存技術の新しいアプリケーションのリスク評価、市場調査や知的財産管理など

フェーズ2:戦略的な事業計画と実現可能性の評価に基づくイノベーション·プロジェクト

フェーズ3:投資準備のサポート、リスクファイナンスと顧客へのアクセスを支援し、フェーズ2から生じるイノベーションの商品化を支援

コーチング:課題解決のためのコーチングが受けられる

サポート対象:250人未満の従業員、年間売上高5000万ユーロ未満の中小企業

日本企業も公募申請できるのか

日本企業も参加できます。経済産業省は、JEUPISTE プロジェクトというHorizon 2020 と日欧の戦略的パートナーシップ構築のための組織があります。JEUPISTEプロジェクトのホームページによると、以下のような日欧連携事例があります。

日本からの参加方法と日欧連携事例 Horizon 2020 は全世界に参加の門戸を開いており、公募毎に決まっている参加条件が充たされていれば、ヨーロッパ域外の機関や個人も参加をする事ができます。但し、これは日本からの参加案件が採択された場合に自動的にECからの助成がされる事は意味しません。自動的な助成の可能性も含め、下記にまとめます。

機関(法人)対象のプログラム 原則として、日本の法人は自動的助成の対象外ですが、それを除けばヨーロッパ他のパートナーと同等の立場での参加が可能であり、知的財産権その他に関してもコンソーシアムアグリーメントに沿って公平に権利が主張できます。 以下の場合には、例外的に日本の法人にも助成措置が取られる可能性があります。

公募に日本からの参加機関への助成が明記されている場合 EUと日本の合意により、相互の助成措置が取られる場合(例えば、EUと米国 (NIH) は医療分野でそのような取り決めを結んでいます。現在の所、日本との間にはそのような取り決めはありません。) 日本からの参加がプロジェクトの成立に必要不可欠(もしくは非常に重要)であり、それが欧州にとってもメリットになると欧州委員会の担当総局が判断した場合。日本機関に直接助成がされる場合、一番多いのはこのパターンだと思われます。

日本企業が欧州法人を通じてご参加をされる場合、欧州企業として参加し、助成措置も受けられます。

上記によれば、日本企業の欧州法人を通じて参加すれば助成措置の対象となることから、イノベーションを目指す日本企業がエストニアに法人を設立してHorizon 2020を活用して欧州からビジネス展開を目指す方法も「あり」かと思います。

ESTLANDINGでは、エストニア経由で海外展開にチャンレンジする日本企業からのご相談を受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

エストニアにおける日本語教育の概要と日本語弁論大会

2015年05月08日

エストニアにおける日本語教育の概要

エストニアでは、ソ連時代からアジアの言語が学ばれていますが、日本語は一番人気があります。正式な日本語教育が始まったのは、 エストニア共和国が独立を回復する直前の1990年からです。

当時、エストニア人文大学(現在、タリン大学の1部)で12人の学生が集まって日本語・日本文化を専攻することになりました。それ以来25年間日本語教育の歴史があるタリン大学のアジア文化学科では、毎年約20~30人の学生が日本語の勉強を始めます。学士レベルの講義は3年間で修了しますが、修士レベルまで勉強を続ける学生もいます。その間、日本に留学する学生もいます。

1632年に設立され、エストニアで最も歴史のあるタルトゥ大学では、1997年から選択科目として日本語教育コースが開講し、50~80人の様々な学部の学生・大学院生が日本語の勉強を楽しんでいます。 それに加えて、2013年からはタリン工科大学でも日本語コースが始まり、約25人の大学生が選択科目として勉強を始めました。今年からは、日本語講座とは別に、日本に関する講義が開催されています。

大学以外には、1993年からタリン市にあるヤルヴェオッツァ高校で日本語クラスが開かれており、第3外国語として3年間日本語を学ぶことができます。高校のレベルでは50~60人の生徒が日本語を勉強しています。 現在は、ラスナマエ高校でも日本語の勉強が可能になってきました。

これまでに、高校生、大学生、大学院生合わせて170人のエストニア人 が日本に留学したことがあります。

第9回 エストニア日本語弁論大会

今年の春、エストニアの首都タリン市にあるタリン大学で第9回エストニア弁論大会が行われました。弁論大会は、1999年初めて開かれ、2年に1度開催されるイベントです。
大会は、初級、中級、上級の順に行われ、それぞれ上位3位までが入賞です。 動画で各クラス1位の発表をご覧下さい。

初級1位:Loviisa Lindpere(ロヴィーサ・リンドペレ)さんのスピーチ
中級1位:Viktoria Maiorova(ヴィクトリア・マイオロヴァ)さんのスピーチ
上級1位:Mihkel Joasoo (ミフケル・ヨアソー)さんのスピーチ
惜しくも上級優勝を逃しましたが、まだ高校1年生にもかかわらず上級2位と健闘し、将来が楽しみなHenri Kopra(ヘンリ・コプラ)さんのスピーチ





エストニア弁論大会について、主催者であるエストニア日本語教師会会長の園部先生に日本語弁論大会についてお話を伺いました。

園部先生によると、「最近の傾向としては、日本に留学した経験のある人の増加による参加者のレベルアップに加え、エストニア人以外の参加者の増加によって大会が国際化してきている」とのことでした。
また、「会を重ねる度に日本に興味を持つ人が増えてきています。この大会やその他のイベントを通じて、日本とエストニアがますます近くなるようになれば」と抱負を述べられました。

★各クラスの優勝者へのインタビューを含む全ての動画はこちら

今後、ESTLANDINGのメンバーも日本とエストニアがますます近くなるよう頑張っていきたいと思います。エストニアに関するご質問があれば、お気軽にESTLANDINGまでお問い合わせください。

日本の鉄道輸出にエストニア企業も貢献!

2015年05月01日

以前おすすめ記事でも紹介したIPA(Interconnect Product Assembly)というエストニアの会社があります。IPAは、電力インフラ向けの製品をメインとしていますが、鉄道車輌向けの空調ユニットも開発・製造しており、近年ヨーロッパで鉄道事業を強化している日立やニューヨークの地下鉄車輌を受注した川崎重工の車輌向けの製品も作っています。

今回は、IPAと日本企業との協業の可能性について、Management Board MemberのRoman Klepikov氏にお話を伺ってきました。

IPA

IPAの会社概要

1999年に設立された。電気機器ソリューションの設計、プロトタイプ製作、製造・組み立てのほか、サプライチェーンマネジメントまで含めたハブソーシングサービスを行っている。

ハブソーシングとは
ハブソーシングとは、IPAの持つのベンダー評価/選択、注文管理、品質保証と物流に関する専門知識と広範なネットワークに対するアクセスを可能にするソリューションのこと。

hub solution

各サービスの説明はこちら

主要取引先は、エネルギーインフラ、家電、産業機器、通信、鉄道車輌セクターで、エネルギーインフラ向けの割合が最も多い。製品ラインアップは、配電盤、コントロールパネル、モジュール、ハーネス、ワイヤーキット等。 特徴のある製品としては、鉄道車輌向け空調ユニット、風力発電設備向け氷結融解装置がある。

製品ギャラリーはこちら

品質管理認証については、ISO認証外に鉄道車輌向け認証のIRIS, EN 15085–2も取得済み。以下のリンクから認証票をダウンロードできる。
ISO9001, ISO14001, IRIS, EN 15085–2

  • 2014年売上高:2020万ユーロ(約26億2600万円)
  • 従業員数:180名
  • 工場敷地面積:5600㎡
  • 主要取引先:欧州電力インフラ会社、欧州通信インフラ会社、欧州自動車メーカー、欧州家電メーカー、鉄道車輌製造メーカー(日立、川崎重工、シーメンス、ボンバルディア etc.)
Presentation
IPAのプレゼンテーション資料(英語)はこちら

以下、Klepinov氏との質疑応答です。

インタビュー

日本企業がIPAと協業すると、どのようなメリットがありますか?

Klepikov氏:IPAは、エネルギーインフラセクター向け配電盤、電源コントロールパネルおよび多様なモジュールボックス、自動車セクター向けケーブルハーネス、家電セクター向け冷蔵庫のコントロールパネルなど、電気とケーブルに関する製品を製造する会社です。

Roman Klepikov
試験装置につてい説明するKlepikov氏

IPAでは設計のメンテナンスやプロダクトディベロップメントを提供していますが、最終プロダクトをゼロから設計するといった事は行っておりませんので、お客様に最終プロダクトのヴィジョンや、コンセプト、図面など何かしら用意して頂く必要があります。それがあれば、我々はreverse engineeringや必要であれば設計のメインテナンスを行う事が出来ます。

また、我々は鉄道や車輌の部品の組み立てを行っています。鉄道に対しては空調ユニットを製造しています。実例として日立やその他の国際的な企業とのビジネスについてお話しすると、空調ユニットは2005年からドイツに対して行っています。日立に関しては、彼ら自身で空調ユニットを製造していますが、キャパシティを超えたため、運転席用の空調ユニットはヨーロッパへ外注されました。製造は我々がここで行い日本の笠戸へ送り、車輌は日本で組み立ててからUKへ輸送しました。

ほかには、コカコーラ、鉄道のブレーキや空調などを製造しているKnorr-Bremseという国際的な会社も我々の顧客です。Knorr-Bremseには我々との取引に満足して頂き、オーストラリアやアメリカ、イギリスにも弊社を推薦して頂きました。きちんと計画すれば、それぞれの国と取引することは問題ではありません。ロジスティクスの面やコミュニケーションに関して綿密に計画すれば、日本との取引も問題なく行うことができると考えています。

railway solution
IPAの強みはどこですか?

Klepikov氏:IPAの強みは専門知識と品質です。例えば、最終製品メーカーの設計者であっても、ケーブルの特性すべてに精通しているわけではありません。IPAはケーブルの素材や特性に関する深い専門知識を持っています。また、鉄道車輌向け空調コントロールユニットが採用されていることからもわかるように、冷却とヒーティングの技術を持っています。

品質については、グローバル企業のサプライヤーとしての実績が示すように、高い品質を維持しています。品質認証システムとしては、ISOに加えてIRISEN 15085–2という鉄道車輌製造に関する認証を取得しています。

製造業は新興国との競争が避けて通れませんが、新興国との競争についてどのようにお考えですか?

Klepikov氏:例えばIPAで製造している10,000€の付加価値商品(多数のコンポーネントやケーブルなどの部品で構成されているモジュールボックスなど)の場合、8,000€が材料コストで、1,000€が人件費です。材料コストはアメリカであっても日本でもあってもコストは同じです。このような商品の場合、人件費の割合が占めるのは10%です。 このようなモジュールボックスの製造には組み立て、テストなどの様々な異なるオペレーションが必要になりますし、スペースも必要となりますので、日本の製造業者を当たれば、興味を持って頂けるところが見つかると確信しています。
また日本向けには付加価値商品でなければならないと思います。付加価値商品であれば送料も価格にはあまり影響しないからです。

それに加えて我々の製造ラインは大変柔軟性があり毎週異なる製品を製造することが可能ですので、製品によっては比較的小ロットのニーズに応えることができます。

factory

ほかにもプロトタイプの設計・製作に力を入れています。例えば、ある製品に関しては自社のノウハウを活かしたユニットを開発し、それがヒットしています。また、ある自動車メーカー向けのケーブルハーネスは、非常にシンプルなものでしたがテストに3年かかりました。このように、お客様の課題は多様化し、それを解決する方法や品質に対する要求のレベルがますます上がっています。IPAはこれらのニーズにきちんと応えていきたいと考えています。
これらは一つの例として説明しましたが、日本のお客様の課題を解決するために、IPAの知見を活かして共同でユニットや製品を共同で開発することも可能です。

日本企業との協業についてお聞かせください

Klepikov氏:日本企業との取引には興味があります。特に日本からヨーロッパに展開したい企業にとって、IPAは様々な経験とサービスを提供できます。 例えばプロトタイプの製作やハブソーシングサービスです。

もし日本からプロトタイプ製作のリクエストがあれば、IPAが窓口になることが可能ということですか?

IPAが出来ることと出来ないことがあります。もしIPAのネットワークで可能であれば窓口になれますが、もしIPAで出来ないことであれば、エストニア・エレクトロニクスインダストリー・アソシエーションと連携しながら、お客様に必要なサービスをアレンジすることができます。さらに広いネットワークを利用して日本の皆様のご要望にお応えできる可能性がありますので、日本からのお問い合わせをお待ちしています。

電気製品に関してヨーロッパ展開に必須となるCEマーク取得のためのサービスも可能ですか?

Klepikov氏:はい、可能です。どのような製品のCEマークを取得したいのかお知らせいただければ、さらに詳しい回答を差し上げることができます。

ESTLANDING:本日は大変お忙しい中、お時間をいただき本当にありがとうございました。

IPAプロモーションビデオ
新規事業、新製品開発、海外事業展開を担当されている皆様へ

新規事業、新製品開発、海外展開(特に欧州)を担当されている皆様、エストニアとの協業でプロトタイプ製作やサプライチェーンマネジメントのフィージビリティスタディなどを検討してみませんか?
もしかすると最適解が見つかるかも知れません。

ESTLANDINGでは「こんな情報ありますか?」「こんなこと出来ますか?」「こんな会社やサービスはありますか?」といったお客様のリクエストをお待ちしています。お気軽にお問い合わせください。

多様な人材を輩出し続けるエストニアの教育システムに迫る

2015年04月11日

世界で活躍するエストニアの人材は、日本でも知られてるICT分野にとどまらず、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、エレクトロニクス、宇宙開発、環境テクノロジーなど、様々な分野にわたっています。エストニアの研究開発の概要については、こちらのResearch in Estoniaが参考になります。

Research in Estonia のニュースをご覧いただくとわかりますが、本当に多様な分野で世界と研究成果を競っています。
わずか人口130万人の小国にもかかわらず、なぜ世界に通用する多様な人材を輩出し続けることができるのか。それはエリートが集まる大学教育だけでなく、初等・中等教育、職業訓練教育といった裾野の広い取り組みを見なければ全体像を掴むことはできないと思っていました。

ある日、たまたまバス停に貼られていたNoor Meister(日本語で若きマイスターの意味)というイベントのポスターが目に入りました。エストニア語のポスターだったのですが、そのデザインやキャッチコピーからどんなイベントか想像することができましたので、そこに行けば何かわかるかもしれないと考え、取材を申し込むとOKとの返事。そこで3月26日に開催されたNoor Meisterの会場に話を聞きに行きました。
その時取材に対応していただいたのがINNOVE財団のLiinaさんです。動画はイベントの歴史や概要、エストニアの職業訓練学校についてインタビューした時のものです。



この取材を通じ、INNOVE財団がエストニアの人材育成に深く関わっていることがわかりました。今後ますます人口減少が避けられない日本ですが、そもそも人口が少ないエストニアの教育システム、人材育成システムがどうなっているのかさらに深く紹介できれば、特に自治体レベルの産業振興関係者、人材育成関係者、教育関係者にとって参考になるのではないかと思い、INNOVE財団理事長のBirgit Lao-Peetersooさんと同財団国際協力センター長のLea Orroさんに話を伺ってきました。

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左側が国際交流センター長のLea Orroさん 右側がINNOVE理事長のBirgit Lao-Peetersooさん

INNOVEについて

ESTLANDING:こんにちは。Noor MeisterではLiinaさんに取材にご協力いただき、ありがとうございました。早速ですがINNOVEの歴史や役割について教えていただけますか?

INNOVE:INNOVEは2016年で設立から20年になります。 当初は職業訓練を目的として組織されましたが、今では職業訓練だけでは無く一般教育にも関わっています。

INNOVEは私法:Private law(日本で言えば民法)に基づいた非営利財団ですが、The Ministry of Educatoinal research(教育研究省)によって設立されました。そういった歴史があるため、異なる省庁の代表者からなる管理機関があります。INNOVEは官と民の間にあり、資金は国から出ていますが、事業は全て私法に基づいて行っています。

あえて私法と述べているのは、公法である行政法に基づいた組織ではないということを強調する意味があると思われます。エストニアには経済分野に似たような形態の「エンタープライズ・エストニア」という組織がありますが、いずれも行政機関の役割を持ちながら、民間組織のような柔軟性を併せ持った組織と言えます。

主な役割は以下のようなものです。 innove_1

INNOVEはStateカリキュラムの作成を行っています。Stateカリキュラムとは、国が作成するカリキュラムで、各学校はそれを採用し、それぞれのレベルにあったカリキュラムを作成します。およそ60のカリキュラムがあります。 また、各学校にどのようにしてカリキュラムをカスタマイズするか、その方法のアドバイスも行っています。
INNOVEは省庁と学校の間の立場にあります。省庁が定めたポリティカルレベルでのポリシーを、例えばカリキュラムなどの実践的な形で学校に伝えたり、アドバイスなどのサポートを行っています。

エストニアには約500の一般教育学校(小中高校)があります。PISAの結果を見れば分かると思いますが、教師1人当たりの生徒数が最も少ない国の一つです。これは生徒に対してきめ細かく対応ができるので、 このような品質面を維持するため、教育品質を測定する国のカリキュラムへつなげたいと考えています。 職業訓練学校については、教育の質を保証するために、専門分野の教育だけでなくStateカリキュラムにある一般基礎教育カリキュラムが必要となります。

INNOVEは各学校で国家試験やPISAの調査も行っています。ちょうど来週から数学のレベル測定のためのPISAテストが始まります。 PISAテストを見ると、エストニアの学生達は良くやっています。読み書き、数学、自然科学など。

私たちは今、システムを替えようとしている途中で、現在の所5つの国立ステートセカンダリースクールがありますが、これを全ての県に増やして全部で19の国立セカンダリースクールを持ちたいです。セカンダリースクールの入学試験は公式にはありませんが、例えばフランス語専門、数学専門の学校などはテストを行いがちです。それでも入学を許可するかどうかはテストの結果に基づく訳では無く、総合的に判断します。

ESTLANDING:省庁ではなく、財団が国レベルの教育カリキュラムの開発、運用、評価まで行うことは、エストニア独自のユニークなものですか?

INNOVE:この方法はエストニアのユニークな方法では無く、ヨーロッパでは一般的です。

今後の取り組み

ESTLANDING:現在力を入れている点、今後の計画などを教えてください。

INNOVE:エストニア人はCo-op(Co-operation) Skillを学ぶ必要があると言えます。Co-op Skillとは、ヨーロッパでは、「どうすればより分析的に問題を解決に導けるか」「チームワーク」などです。これらをどう教育するかが我々にとってのチャレンジといえるでしょう。

最初の取り組みは、個々の生徒を考察し、それぞれのスペシャルニーズを認知し最適な教育の道を持つことです。今1つの機関が、個々の生徒向けのサポートのためのカリキュラムを用意しています。

それぞれのカリキュラム、一般教育、職業訓練には共通のテーマがあります。例えばICTです。授業では各教科でICTを教師も使いますし、生徒も使います。例えば我々はe-testに基づいた小学3年生のテストを実施しています。e-testを受けるためには、小学3年生の時点でICTリテラシーを持っていなければならず、また教科の内容も理解している必要があります。そのための準備はかなり早くから始めておくべきで、小学1年生の時点で既にコンピューターを使って、生徒たちがどれくらい使えるかを見ます。 その結果から、生徒のICTスキルと教科の知識に関する分析を行うのです。

ICTに加えて、起業家精神がさらに重要になっています。起業家精神は、どうやって会社を興すかということだけでは無く、どうすればクリエイティブになれるか、どうやって良いアイデアを考え出せるか、というような広い意味です。エストニアでは、ダンス、手工芸、スポーツや遠足などをミックスしたカリキュラムを通じて、起業家精神の教育を幼稚園の頃から始めます。

そのほか、外国語も小学3年生から選択可能で、遅くとも小学5年生までに外国語の学習をスタートしなければなりません。中学の卒業試験では、外国語は必須科目です。外国語は選択制で複数の外国語を学ぶことができますが、90%の生徒が英語を選択しています。高校生になると第2外国語を選択しますが、現在31名の生徒が日本語を選択しています。

日本との交流について

ESTLANDING:日本の教育機関との交流について興味はありますか?

INNOVE:もちろんあります。外国との交流はINNOVEの大事な役割の一つです。
特に日本が外国の技術やサービスを取り入れて、高度な改良を加えていく能力に興味があります。エストニアには外国から何か入ってきても、日本のように新しいモノといえるレベルまで改良するということはあまり行われていません。

交流の具体的なアイデアですが、まずクリエイティブな分野で何か交流できたらと考えています。例えば、「エレクトロニクス」や「機械」「ICT」に関連する何かの設計、デザインなど。ほかには、Noor Meisterのインタビューにもありましたが、エストニアの職業訓練で最も人気がある「自動車整備」と「料理人」。これらの分野で、何か一つの製品を共同で作るプロジェクトをやってみたらどうでしょうか。それが発展して大会のようになったらいいと思っています。
それと教育カリキュラムの交流に興味があります。これまで説明したように、エストニアの教育カリキュラムはINNOVEが開発しています。それと日本の教育カリキュラムのいいところをお互いに試してみると、何かいい結果に繋がるかもしれません。

ESTLANDING:本日はお忙しいところ、取材にご協力いただきありがとうございました。

取材を終えて

エストニアの基礎教育システムを簡単に説明すると、

  • とりわけ重要と考えられているのが企業家精神の育成で、その教育は幼稚園から始まる
  • コンピューターリテラシーの教育は小学1年生からスタート
  • 外国語は小学3年生からスタート
  • ベーシックスクール(中学)の卒業試験の必須科目は数学、国語、外国語が必須、科学、社会分野は選択
  • 高校の入学試験は、特別な専門性を持っている高校以外、基本的に無い
  • 職業訓練学校でも一般基礎教育カリキュラムは必須

といった形です。

特徴としては、企業家精神の教育が幼稚園から始まる点ではないでしょうか。
「どうすればクリエイティブになれるか」「どうやって良いアイデアを考え出せるか」、これから先、時代がどのように変化しても、どれだけコンピューターやロボットが発達しても、このスキルは人間が担っていくことになるのでしょう。

そしてアイデアがひらめいた時、それを実現するために必要となるCo-op skillやチームワーク、現代の読み書きソロバン(英語&専門分野に必要となる外国語、数学&コンピュータースキル)を社会にでる前、大学に入る前までに身につけさせておくのがエストニア流。

そのエストニア流を支えるINNOVE財団は、カリキュラム作成、運用、テスト、フォローを通じて教育現場のPDCAサイクルを回し、教育の質を保証する機関だということも見えてきました。

それに加えて現在のエストニア社会には、企業家精神を発揮して新しいアイデアを実行するために不可欠な自由な空気がありますし、エストニアの人々と話していると、さらに良いアイデアを出そうというエネルギーを感じることがよくあります。もちろんネガティブな反応がないわけではありませんが、社会全体として企業家精神に対する理解が進んできているので、自然とそういう場を作り出しやすい雰囲気になっているのかも知れません。

いかがでしたか。
エストニアの挑戦はまだまだ続きます。その取り組みを紹介することで、日本の皆様にとって何かの参考になればと思います。

INNOVE財団のホームページはこちら

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日本の皆様へ

INNOVE財団では、共同のプロジェクトや情報交換などを通して日本との交流を希望しています。エストニアの教育カリキュラムや共同プロジェクトに興味のある方で、共同プロジェクトをやってみたい、もっと情報がほしい、交流を検討したい、視察してみたい、といったリクエストがございましたら、お気軽にESTLANDINGまでメールでお知らせください。 特に、共同プロジェクトのアイデアをお持ちの関係者からのお問い合わせをお待ちしています。 (本件に関するお問い合わせ、ご相談は無料です)

お問い合わせはこちら

エストニアで不動産経営はじめませんか?

2015年03月13日

エストニアでビジネスを始めるとすれば、どんな分野にチャンスがあるのでしょうか。

今回は、タリン最大の不動産会社1Partnerさんにお邪魔して、会社のオーナーであるTanel Tarum(タネル・タルム)さんにエストニアの不動産分野のビジネス事情とその魅力についてお話を伺いました。

1Partner
—はじめに会社概要についてご説明頂けますか?

タルム氏:1Partnerはタリンで最も大きな不動産会社で、私ともう1人のパートナーの2名がオーナーです。お客様にご提供しているサービスは、大きく分けて以下の3つがあります。

  1. 不動産物件サービス(売買・賃貸)
  2. 投資アドバイザーサービス
  3. 建築サービス
1partner member
—エストニアの不動産市場についてご説明いただけますか?

タルム氏:タリンで販売されている不動産の取得価格は、アパート物件で€50,000〜€200,000、ビル内のオフィス物件ですと€200,000〜€1,000,000、ビル1棟で€1,000,000〜€3,000,000といったところです。 単価は、1平米あたりオフィスやビルで€1,000〜€2,000、新しいアパートは郊外で€1,700〜2,300、中心部で€2,500〜€3,500がおおよその目安です。

—エストニアの不動産の魅力は何ですか?

タルム氏:まず、ヨーロッパの首都としてはまだまだリーズナブルな価格だということです。次に税制です。エストニアには不動産にかかる税金がありません。また、相続税もありません。
外国からの投資は主にロシアとフィンランドからが多いですが、彼らはまずエストニアに会社を作り、この税制を最大限に活用してビジネスを行っています。
他に魅力を挙げるとすれば、価格が比較的安定しているという点です。タリン中心部の物件は販売するときにそれほど値下がりしません。リーマンショックの時ですら、旧市街は値下がりしませんでした。利回りと立地をうまく組み合わせると、効果的な投資が可能と言えます。

—利回りはどれくらいですか?

タルム氏:一般的なアパートですと4〜7%、オフィス物件は6〜8%、ビル1棟だと7.5%〜8.5%くらいです。その他、工場や倉庫といった物件もありますが、利回りはビルと同程度です。
1Partnerは、不動産評価について、銀行、政府、裁判所に対して不動産評価報告書を作成する資格を保有しています。 我々の投資アドバイスサービスは、不動産投資の前に、詳細な投資計画の策定やアドバイスを行うことができます。

—日本から不動産を管理するにはどうすればいいですか?

タルム氏:1Partnerアドバイザーサービスでは、マネージメントサービスを提供しています。マネージメントサービスをご契約いただくと、家賃の回収、メンテナンスなどの物件管理サービスを提供します。費用は家賃の10%です。

—日本の皆さんへコメントがあればどうぞ

タルム氏:1Partnerでは、日本の皆さんにエストニアの不動産マーケットの魅力を知っていただくための不動産投資セミナーを実施することができます。もし、エストニアの不動産にご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、1Partnerのホームページに英語でお問い合わせいただくか、日本語でESTLANDINGさんへお気軽にお問い合わせください。リクエストにできる限りお応えしたいと思います。

1Partner2
オーナーのタネル・タルム氏
タリンの不動産事情まとめ

 ・固定資産税ゼロ、相続税ゼロ
 ・ヨーロッパの首都にしてはリーズナブル
 ・中心部は価格変動が小さく資産価値が高い

物件 販売価格 1㎡あたり 利回り
アパート €50,000〜€200,000 €1,700〜€3,500 4〜7%
オフィス €200,000〜€1,000,000 €1,000〜€2,000 6〜8%
オフィスビル1棟 €1,000,000〜€3,000,000 €1,000〜€2,000 7.5〜8.5%
工場・倉庫 €1,000,000〜€3,000,000 - 7.5〜8.5%

最後にタルム氏オススメのオフィスビル物件を紹介します。
ムスタマエ通りに面した8階建てのオフィスビルが€3,200,000で売りに出ています。月間約€20,000、年間約€240,000の家賃収入がありますので、利回りは約8%です。

project1 project2 project3

この物件の場所は、旧市街から車で5分程度、近くには富士通エストニアのオフィスもあります。
ご興味のある方は、ESTLANDINGまでお気軽にお問い合わせください。資料をお送りいたします。 また、現地見学のご要望にも対応いたします。ヨーロッパへのご旅行のついでにお気軽にタリンにお立ち寄りください。

いかがでしたか?
固定資産税も相続税もないエストニアで、日本の皆様も不動産事業を始めてみませんか?
1Partnerさんの不動産情報については、今後もこのブログで発信していきたいと思いますので、ESTLANDINGホームページのチェックをよろしくお願いいたします。

お問い合わせはこちら
ページ下部に過去記事のリストがあります。