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日本の鉄道輸出にエストニア企業も貢献!

2015年05月01日

以前おすすめ記事でも紹介したIPA(Interconnect Product Assembly)というエストニアの会社があります。IPAは、電力インフラ向けの製品をメインとしていますが、鉄道車輌向けの空調ユニットも開発・製造しており、近年ヨーロッパで鉄道事業を強化している日立やニューヨークの地下鉄車輌を受注した川崎重工の車輌向けの製品も作っています。

今回は、IPAと日本企業との協業の可能性について、Management Board MemberのRoman Klepikov氏にお話を伺ってきました。

IPA

IPAの会社概要

1999年に設立された。電気機器ソリューションの設計、プロトタイプ製作、製造・組み立てのほか、サプライチェーンマネジメントまで含めたハブソーシングサービスを行っている。

ハブソーシングとは
ハブソーシングとは、IPAの持つのベンダー評価/選択、注文管理、品質保証と物流に関する専門知識と広範なネットワークに対するアクセスを可能にするソリューションのこと。

hub solution

各サービスの説明はこちら

主要取引先は、エネルギーインフラ、家電、産業機器、通信、鉄道車輌セクターで、エネルギーインフラ向けの割合が最も多い。製品ラインアップは、配電盤、コントロールパネル、モジュール、ハーネス、ワイヤーキット等。 特徴のある製品としては、鉄道車輌向け空調ユニット、風力発電設備向け氷結融解装置がある。

製品ギャラリーはこちら

品質管理認証については、ISO認証外に鉄道車輌向け認証のIRIS, EN 15085–2も取得済み。以下のリンクから認証票をダウンロードできる。
ISO9001, ISO14001, IRIS, EN 15085–2

  • 2014年売上高:2020万ユーロ(約26億2600万円)
  • 従業員数:180名
  • 工場敷地面積:5600㎡
  • 主要取引先:欧州電力インフラ会社、欧州通信インフラ会社、欧州自動車メーカー、欧州家電メーカー、鉄道車輌製造メーカー(日立、川崎重工、シーメンス、ボンバルディア etc.)
Presentation
IPAのプレゼンテーション資料(英語)はこちら

以下、Klepinov氏との質疑応答です。

インタビュー

日本企業がIPAと協業すると、どのようなメリットがありますか?

Klepikov氏:IPAは、エネルギーインフラセクター向け配電盤、電源コントロールパネルおよび多様なモジュールボックス、自動車セクター向けケーブルハーネス、家電セクター向け冷蔵庫のコントロールパネルなど、電気とケーブルに関する製品を製造する会社です。

Roman Klepikov
試験装置につてい説明するKlepikov氏

IPAでは設計のメンテナンスやプロダクトディベロップメントを提供していますが、最終プロダクトをゼロから設計するといった事は行っておりませんので、お客様に最終プロダクトのヴィジョンや、コンセプト、図面など何かしら用意して頂く必要があります。それがあれば、我々はreverse engineeringや必要であれば設計のメインテナンスを行う事が出来ます。

また、我々は鉄道や車輌の部品の組み立てを行っています。鉄道に対しては空調ユニットを製造しています。実例として日立やその他の国際的な企業とのビジネスについてお話しすると、空調ユニットは2005年からドイツに対して行っています。日立に関しては、彼ら自身で空調ユニットを製造していますが、キャパシティを超えたため、運転席用の空調ユニットはヨーロッパへ外注されました。製造は我々がここで行い日本の笠戸へ送り、車輌は日本で組み立ててからUKへ輸送しました。

ほかには、コカコーラ、鉄道のブレーキや空調などを製造しているKnorr-Bremseという国際的な会社も我々の顧客です。Knorr-Bremseには我々との取引に満足して頂き、オーストラリアやアメリカ、イギリスにも弊社を推薦して頂きました。きちんと計画すれば、それぞれの国と取引することは問題ではありません。ロジスティクスの面やコミュニケーションに関して綿密に計画すれば、日本との取引も問題なく行うことができると考えています。

railway solution
IPAの強みはどこですか?

Klepikov氏:IPAの強みは専門知識と品質です。例えば、最終製品メーカーの設計者であっても、ケーブルの特性すべてに精通しているわけではありません。IPAはケーブルの素材や特性に関する深い専門知識を持っています。また、鉄道車輌向け空調コントロールユニットが採用されていることからもわかるように、冷却とヒーティングの技術を持っています。

品質については、グローバル企業のサプライヤーとしての実績が示すように、高い品質を維持しています。品質認証システムとしては、ISOに加えてIRISEN 15085–2という鉄道車輌製造に関する認証を取得しています。

製造業は新興国との競争が避けて通れませんが、新興国との競争についてどのようにお考えですか?

Klepikov氏:例えばIPAで製造している10,000€の付加価値商品(多数のコンポーネントやケーブルなどの部品で構成されているモジュールボックスなど)の場合、8,000€が材料コストで、1,000€が人件費です。材料コストはアメリカであっても日本でもあってもコストは同じです。このような商品の場合、人件費の割合が占めるのは10%です。 このようなモジュールボックスの製造には組み立て、テストなどの様々な異なるオペレーションが必要になりますし、スペースも必要となりますので、日本の製造業者を当たれば、興味を持って頂けるところが見つかると確信しています。
また日本向けには付加価値商品でなければならないと思います。付加価値商品であれば送料も価格にはあまり影響しないからです。

それに加えて我々の製造ラインは大変柔軟性があり毎週異なる製品を製造することが可能ですので、製品によっては比較的小ロットのニーズに応えることができます。

factory

ほかにもプロトタイプの設計・製作に力を入れています。例えば、ある製品に関しては自社のノウハウを活かしたユニットを開発し、それがヒットしています。また、ある自動車メーカー向けのケーブルハーネスは、非常にシンプルなものでしたがテストに3年かかりました。このように、お客様の課題は多様化し、それを解決する方法や品質に対する要求のレベルがますます上がっています。IPAはこれらのニーズにきちんと応えていきたいと考えています。
これらは一つの例として説明しましたが、日本のお客様の課題を解決するために、IPAの知見を活かして共同でユニットや製品を共同で開発することも可能です。

日本企業との協業についてお聞かせください

Klepikov氏:日本企業との取引には興味があります。特に日本からヨーロッパに展開したい企業にとって、IPAは様々な経験とサービスを提供できます。 例えばプロトタイプの製作やハブソーシングサービスです。

もし日本からプロトタイプ製作のリクエストがあれば、IPAが窓口になることが可能ということですか?

IPAが出来ることと出来ないことがあります。もしIPAのネットワークで可能であれば窓口になれますが、もしIPAで出来ないことであれば、エストニア・エレクトロニクスインダストリー・アソシエーションと連携しながら、お客様に必要なサービスをアレンジすることができます。さらに広いネットワークを利用して日本の皆様のご要望にお応えできる可能性がありますので、日本からのお問い合わせをお待ちしています。

電気製品に関してヨーロッパ展開に必須となるCEマーク取得のためのサービスも可能ですか?

Klepikov氏:はい、可能です。どのような製品のCEマークを取得したいのかお知らせいただければ、さらに詳しい回答を差し上げることができます。

ESTLANDING:本日は大変お忙しい中、お時間をいただき本当にありがとうございました。

IPAプロモーションビデオ
新規事業、新製品開発、海外事業展開を担当されている皆様へ

新規事業、新製品開発、海外展開(特に欧州)を担当されている皆様、エストニアとの協業でプロトタイプ製作やサプライチェーンマネジメントのフィージビリティスタディなどを検討してみませんか?
もしかすると最適解が見つかるかも知れません。

ESTLANDINGでは「こんな情報ありますか?」「こんなこと出来ますか?」「こんな会社やサービスはありますか?」といったお客様のリクエストをお待ちしています。お気軽にお問い合わせください。

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